📜 原文(文言文)
楚王问于范环曰:“寡人欲置相于秦,孰可?”对曰:“臣不足以知之。”王曰:“吾相秦者,宜谁可?”对曰:“王若欲置相于秦,臣闻之,毋使相为也。相者,国之重也,不可不慎。臣闻,张仪相秦,必以秦强而楚弱;若使甘茂相秦,则秦之强也,必以楚为重。今王欲置相于秦,莫如甘茂之贤也。”王曰:“甘茂,寡人之仇也,不可。”对曰:“王之用贤也,何仇乎?夫甘茂,秦之良臣也,其为人也,忠而信,且善于秦。王若用之,必厚于楚,而秦且重楚矣。今王以其仇而弃之,非计也。且王尝用召滑于越,而内行章义之难,越乱,故楚南塞厉门而郡江东。计王之所以能若是者,以越乱也。今王用甘茂,则秦必乱,而楚得乘其敝,此万世之时也。王何爱一仇而失万世之利乎?”王曰:“善。”乃使甘茂相秦。
📖 白话文翻译
楚王、范環に問いて曰わく、「吾、秦に相を置かんと欲す。誰か可ならん。」范環対えて曰わく、「臣、是を知る能わず。」王曰わく、「吾、秦に相たらしめんと欲する者は、誰か可ならん。」范環対えて曰わく、「王、秦に相を置かんと欲すれば、臣聞く、己の親信を遣わして相たらしむるなかれ、と。相は国の重臣なり、慎まざるべからず。臣聞く、張儀をして秦の相たらしめば、必ず秦を強うして楚を弱うせん。甘茂をして秦の相たらしめば、秦は強しと雖も、必ず楚を重んぜん。今、王、秦に相を置かんと欲すれば、甘茂より賢なるは莫し。」王曰わく、「甘茂は寡人の仇なり。以てすべからず。」范環曰わく、「王、賢才を用うるに、何ぞ仇怨を計らんや。甘茂は秦の良臣にして、其の人忠信にして、且つ秦と善く処る。王、若し之を用いば、必ず楚を厚くし、秦も亦た此に因りて楚を重んぜん。今、王、仇怨を以て之を棄つるは、善き策に非ざるなり。且つ王、嘗て召滑を越に遣わし、彼、越に内乱を造り、越をして大乱せしめ、楚は此に因りて南の厲門に防を設け、江東に郡県を置くことを得たり。王の此を為す所以の者は、越の乱るるを以てなり。今、王、甘茂を用うれば、秦は必ず内乱し、而して楚は其の間に因りて利を取るべし。是れ万世に一たびの時なり。王、何ぞ一仇を愛みて万世の利を失わんや。」王曰わく、「善し。」乃ち甘茂をして秦に相たらしむ。
💡 商战启示录
范環は楚の王に、仇敵である甘茂を秦の国相に任じるよう進言した。表向きは秦のためを思ってのことだが、実のところは親楚の代理人を擁立することで敵国を弱め、自国の利益を増進せんとするもので、これは高度な「力を借りて力を制す」戦略である。現代のビジネスに置き換えれば、企業のリーダーは個人的な恩讐を超越し、戦略的な高みから人材配置を考えるべきだという示唆に富む。例えば、アップルの創業者スティーブ・ジョブズは現CEOのティム・クックとかつて意見の相違があったが、クックはその卓越したサプライチェーン管理能力を買われて重責を任され、最終的にアップルを再び栄光へと導いた。また、ファーウェイは国際市場を開拓する際、競合であるエリクソンの幹部を要職に招き、その業界経験と人脈を活用してヨーロッパ市場での足場を固めることに成功した。この「敵を味方に転じる」知恵には、決断者たる者、長期的な視野と寛容な度量を持ち、對手や仇敵の能力を自らの発展の原動力へと転化させることが求められる。同時に、范環の諫言は「相」という要職の重要性をも強調しており、企業が中核的なポジションを任せる際には、能力のみならず、自社の利益に対する潜在的な影響をも見極め、巧妙な人事配置によってより大きな戦略的構図を動かすべきことを示唆しているのである。