第212篇 张仪为秦破从连横谓燕王
出处:战国策·燕策一
📜 原文(文言文)
张仪为秦破从连横,谓燕王曰:“大王之所亲莫如赵,昔赵王以其姊为代王妻,欲并代,约与代王遇于句注之塞。乃令工人作为金斗,长其尾,令之可以击人。与代王饮,而阴告厨人曰:‘即酒酣乐,进热啜,即因反斗击之。’于是酒酣乐,进取热啜。厨人进斟羹,因反斗而击之,代王脑涂地。其姊闻之,摩笄以自刺也。故至今有摩笄之山,天下莫不闻。夫赵王之狼戾无亲,大王之所明见知也。且夫赵之所以不亡者,以燕为蔽也。今赵且欲并代,而以燕为弱,故不敢加兵于燕。若赵之强,则燕必为赵所并矣。今王与赵相亲,犹如手足,然而赵王终无亲燕之意,而欲并燕也。大王若不事秦,秦下甲云中、九原,驱赵而攻燕,则易水、长城非王之有也。且今时赵之于秦,犹郡县也,不敢妄兴师以征伐。今王事秦,秦王必喜,赵不敢妄动,是西有强秦之援,而南无齐赵之患,是故愿大王之熟计之也。”燕王曰:“寡人蛮夷僻处,虽大男子,裁如婴儿,言不足以求正,谋不足以决事。今上客幸而教之,请奉社稷西面而事秦,献恒山之尾五城。”
📖 白话文翻译
張儀は秦のために合従を破り、連衡の策を推し行かんとし、燕王に謂いて曰く、「大王の最も親しむ諸侯は趙に如くは莫し。昔、趙王は其の姉を代王に嫁して妻と為し、代を併呑せんと欲し、代王と句注の塞に会するを約す。工匠に命じて金斗を作らしめ、柄を長くして、以て人を撃つに可ならしむ。趙王、代王と飲酒するや、密かに厨子に告げて曰く、『酒の酣なるに及びて、熱湯を進め、其の機に乗じて金斗を反して代王を撃て』と。是に於いて酒の正に暢なる時、厨子、熱湯を奉じ、代王の湯を飲むに乗じ、金斗を反して之を撃つ。代王、脳漿地に塗る。趙王の姉、之を聞きて、簪を磨きて自殺す。故に今に摩笄山有り、天下知らざる者莫し。趙王は兇狠暴戻にして、六親を親しまず、此れ大王の親ら見、明らかに知る所なり。且つ趙の滅びざる所以の者は、燕を以て屏障と為すが故なり。今、趙、代を併呑せんと欲すれども、燕の弱小なるを以て、敢えて燕に兵を用いず。若し趙の強からば、則ち燕は必ず趙に併呑せられん。今、大王、趙と親しむこと手足の如しと雖も、趙王は終に燕を親しむの意有る莫く、燕を併呑せんと欲するのみ。大王、若し秦に事えずんば、秦、雲中・九原に兵を出だし、趙を駆りて燕を攻めしめば、則ち易水・長城は、復た大王の有るに非ざるなり。且つ今の趙は秦に對して、郡県の如くにして、敢えて軽挙妄動して兵を興すこと無し。今、大王、若し秦に事えんか、秦王は必ず喜び、趙は敢えて軽挙せず、此の如くにして燕は西に強秦の援け有り、南に斉・趙の患無し。故に大王の此を熟視せんことを願う。」燕王曰く、「寡人、蛮夷の地に居り、大丈夫と雖も、其の智は嬰児の如く、言は以て正道を求むるに足らず、謀は以て大事を決するに足らず。今、貴客、幸いに寡人を教う。願わくは国を献じ、西のかた秦に事え、恒山の下の五城を割かん。」
💡 商战启示录
張儀のこの策は、商戦における古典的な「威嚇と利誘」を併用した好例と言えよう。彼はまず趙の旧悪を暴き立てて燕趙の同盟を分断し、次に強秦の軍事力を以て脅し、最後に「秦に事(つか)えれば安し」と誘い、燕王をして屈伏せしめたのである。現代の商業交渉においても、この戦略はしばしば買収や提携交渉に用いられる。例えば、某インターネット大手が新興企業の買収を企図する際、まず市場報告書を通じて競合他社の虎視眈々たる姿勢と自社の資源不足を指摘し、切迫感を醸成する。そして自社のプラットフォーム優位性と資金力を示し、提携すれば流量と資本支援を得られるが、拒否すれば競合に圧倒されかねないと暗に示唆するのである。これはまさに張儀が先に「趙王の狼戾(ろうれい)」を以て燕の信頼を瓦解させ、次に「秦、甲を雲中に下す」と圧力をかけ、最後に「西に強秦の援けあり」と甘味を与えたのと軌を一にする。企業の意思決定者は、このような「分割統治」の話術に警戒し、提携において独立した判断を保持し、恐怖や短期的利益のために長期的な戦略的自律性を失うことを避けるべきである。同時に、張儀が敵の心理を見抜き、段階を踏んで迫る交渉術を学び、商業博弈(はくえき)において主導権を掌握することも肝要である。