📜 原文(文言文)
孟尝君出行国,至楚,楚献象床。郢之登徒,直使送之,不欲行。见孟尝君门人公孙戍曰:“臣,郢之登徒也,直送象床。象床之直千金,伤此若发漂,卖妻子不足偿之。足下能使仆无行,先人有宝剑,愿得献之。”公孙戍曰:“诺。”入见孟尝君曰:“君岂受楚象床哉?”孟尝君曰:“然。”公孙戍曰:“小国所以皆致相印于君者,闻君于齐能振达贫穷,有存亡继绝之义。小国英桀之士,皆以国事累君,诚说君之义,慕君之廉也。今君到楚而受象床,所未为也。君所以不受,奈何?”孟尝君曰:“诺。”公孙戍趋而去。未出,至中闺,君召而反之,曰:“子教文无受象床,甚善。今何举足之高,志之扬也?”公孙戍曰:“臣有大喜三:一喜君得贤,二喜臣得言,三喜臣得剑。”孟尝君曰:“何谓也?”对曰:“君得贤,臣得言,臣得剑,故三喜。”孟尝君曰:“善。”乃书门版曰:“有能扬文之名,止文之过,私得宝于外者,疾入谏。”
📖 白话文翻译
孟嘗君、諸国を巡り、楚に至りし時、楚王、象牙の床を献じたり。郢都の登徒官、ちょうどその床を護送する当番に当たりたれど、行くを欲せず。彼、孟嘗君の門客・公孫戍を訪いて曰く「我は郢都の登徒官にして、象牙の床を護送する番に当たれり。この床、価千金、万一にも傷つくことあらば、妻子を売るとも償い難し。君、もし我をしてこの役を免れしめば、我が家伝の宝剣を君に献ぜん」と。公孫戍、これを諾う。公孫戍、入りて孟嘗君に見え曰く「君、まさに楚の象牙の床を受けんとするや」と。孟嘗君曰く「然り」と。公孫戍曰く「小国が相印をことごとく君に委ぬるは、君が斉に在りて貧窮を救い、滅びたる国を存し、絶えたる世を継ぐの大義あるを聞けばなり。天下の英傑、国事を君に託するは、実に君の道義を慕い、廉潔を敬すればなり。今、楚に至りて象牙の床を受くるは、為すべきに非ず。君が天下に重んぜらるる所以の者は、即ちこれに在り。焉んぞ受けんや」と。孟嘗君曰く「善し」と。公孫戍、速歩して去り、未だ中門を出でざるに、孟嘗君また之を呼び返して曰く「子、我に象牙の床を受くる勿れと教うるは、善し。然れども何ぞ足を挙ぐること高く、意気揚揚たるや」と。公孫戍曰く「臣に三つの大喜あり。一には君の賢名を得るを以てし、二には臣の言を進むるを得るを以てし、三には臣の宝剣を得るを以てす」と。孟嘗君曰く「何の謂ぞや」と。公孫戍、対えて曰く「君、臣の諫めを受け給うは、君の賢名を得るなり。臣の言を進むるを得るは、臣の用いらるるの機会を得るなり。臣、帰りて登徒官の宝剣を得ることを得れば、故に三喜あり」と。孟嘗君曰く「善し」と。ここにおいて門板に書して曰く「能く我が名を揚げ、我が過ちを止むる者あらば、仮令ひ私かに外にて宝物を得ることありとも、速やかに来りて諫めよ」と。
💡 商战启示录
孟嘗君、象牙の床を受け入れたるは、一見個人の好みのごとしといえども、実はその「廉潔にして士を愛す」というブランドイメージを損ない、諸国が彼に寄せる信頼を揺るがすやも知れず。公孫戍の諫言は、本質的に彼に提醒せんとす——指導者のあらゆる公的行為はブランド資産にして、中核的価値観と衝突せば、信頼の危機を引き起こすことなり。現代の商業に於いても、かかる事例は少なからず見ゆ。例えば、某有名ハイテク企業のCEOが公の場にて競合他社のスマートフォンを使用せしことにより、投資家とユーザーがその「自主革新」の位置づけに疑念を抱き、株価が短期的に変動せり。また、某チェーン飲食ブランドの創業者が地溝油を使用せるを発見され、その個人の行為に非ずといえども、公衆は個人のイメージと企業を結びつけ、ブランドの評判は大打撃を受けたり。逆に、華為の任正非は「顧客を中心とし、奮闘者を本位とす」という価値観を堅持し、短期的な暴利の誘惑を拒みて、長期的に世界の顧客の信頼を勝ち得たり。孟嘗君がついに「門版に書す」をもって諫言を奨励せしは、内部に「誘惑に対する反制」の仕組みを設くるに等しく、現代企業もこれに鑑みて「価値観の監査」或いは「道徳委員会」を設立し、重大な決定の前にブランドの長期的価値への影響を評価すべし。公孫戍の「三つの喜び」もまた明らかにす——良き諫言は各方の共に勝つを図るべきにして、ゼロサムの博弈に非ざることを。商業の決定は短期的利益と長期的信望の均衡を要し、指導者の「慎独」と広く諫言を容るるは、ブランドの堀を護る要なり。