第335篇 秦攻赵赵王使赵括军
出处:战国策·秦策五
📜 原文(文言文)
秦攻赵,赵王使赵括为将。括母上书曰:“括不可使将。”王曰:“何以?”对曰:“始妾事其父,时为将,身所奉饭饮而进食者以十数,所友者以百数;大王及宗室所赏赐者,尽以予军吏士大夫,受命之日,不问家事。今括一旦为将,东向而朝,军吏无敢仰视之者;王所赐金帛,归尽藏之,乃日视便利田宅可买者。王以为若其父乎?父子不同,执心各异。愿王勿遣。”王曰:“母置之,吾已决矣。”括母因曰:“王终遣之,即有不称,妾得无随乎?”王许诺。括既代廉颇,悉更约束,易置军吏。秦将白起闻之,纵奇兵,佯败走,而绝其粮道,分断其军为二,士卒离心。四十余日,军饿,赵括出锐卒自搏战,秦军射杀赵括。括军败,数十万之众遂降秦,秦悉阬之。赵前后所亡凡四十五万。
📖 白话文翻译
秦、趙を攻む。趙王、趙括を将とす。括の母、上書して曰く、「括を将とすべからず」と。王問う、「何ぞや」と。対えて曰く、「始め妾、其の父に事ふ。時に其の父を将と為すや、自ら奉ずる所の飯食、客に食らはしむること数十人、朋友に及ぶこと数百人。大王及び宗室の賞賜は、尽く軍吏・士大夫に与ふ。命を受くるの日より、家の事を問はず。今括、一旦将と為るや、東向してして吏を見る。軍吏敢へて之を仰ぎ視る者莫し。王の賜ふ金帛は、尽く帰りて之を蔵し、乃ち日を視て便利の田宅を求め買ふ。王以為へらく父に似たりと。父子心を異にす。願はくは王、之を遣はさざれ」と。王曰く、「母、以て之を置け。吾已に決せり」と。括の母因りて曰く、「王終に之を遣はさば、即ち不称あらば、妾、得るに坐せられずや」と。王、許す。括、廉頗に代りて、悉く約束を更め、吏を易ふること多し。秦の将白起、聞きて之を奇兵と為し、佯りて走り、絶ちて其の糧道を絶ち、其の軍を分かちて為に二と為す。士卒心を離る。四十余日、軍饑ゆ。括、鋭卒を自ら率ゐて搏戦す。秦軍、括を射殺す。軍敗れ、数十万の衆遂に秦に降る。秦、悉く之を阬す。趙前后、所喪亡ふこと四十五万。
💡 商战启示录
趙括の紙上談兵による失敗は、現代のビジネスにおいても往々にして見られる光景である。多くの企業リーダーは理論のみを有し、実戦経験に乏しく、就任早々改革を急ぎ、現場の実情を軽視した結果、組織の崩壊を招いてしまう。例えば、某スタートアップの創業者は名門校のMBAの経歴を持ちながらも市場を理解せず、書物のモデルをそのまま踏襲し、第一線の社員や顧客の声に耳を傾けることなく盲目的に拡大を進め、ついには資金繰りの破綻を来した。趙括の母の諫言は、取締役会が果たすべきリスク審査の責務に酷似している——重要な経営幹部を任命する際には、学歴や弁舌のみならず、その実践的能力と価値観を評価する必要がある。趙括が「恩賞をことごとく蔵し、日々田宅を視る」私心を抱いたことは、リーダーが個人の利益を優先すれば、必ずやチームの信頼を失うという戒めでもある。また、白起の戦略——偽って敗走し敵を誘い込み、その糧道を断つ——は、ビジネスにおける競争情報とサプライチェーン管理に喩えられよう。正面から激突するのではなく、敵の資源や資金の流れを断ち切ることにより、その内部の安定性を瓦解させるのである。現代企業においては、ファーウェイの任正非が「砲声を聞く者に砲火を呼ばせよ」と強調するのは、まさに上層部が現場から遊離することを防ぐ良策である。この事例が示すのは、成功には理論と実践の結合が必要であり、リーダーには謙虚さと共有の懐の広さが求められる。それらを欠くならば、たとえ千軍万馬を擁しようとも、「坑殺」の結末を免れ得ないのである。