第244篇 秦韩战于浊泽

出处:战国策·韩策一

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📜 原文(文言文)

秦、韩战于浊泽,韩氏急。公仲朋谓韩王曰:“与国不可恃。今秦之心欲伐楚,王不如因张仪为和于秦,赂之以一名都,与之伐楚,此以一失二之计也。”韩王曰:“善。”乃儆公仲之行,将西购于秦。楚王闻之,大恐,召陈轸而告之。陈轸曰:“秦之欲伐我久矣,今又得韩之名都一而具甲,秦、韩并兵而伐楚,此秦所祷祀而求也。今已得之矣,楚国必伐矣。王听臣,为之儆四境之内,选师言救韩,令战车满道路,发信臣,多其车,重其币,使信王之救己也。纵韩为不能听我,韩必德王也,必不为雁行以来。是秦、韩不和也,兵虽至,楚不大病也。为能听我,绝和于秦,秦必大怒,以厚怨于韩。韩得楚救,必轻秦。轻秦,其应秦必不敬。是我困秦、韩之兵,而免楚国之患也。”楚王大说,乃儆四境之内,选师言救韩,发信臣,多其车,重其币。谓韩王曰:“不谷之国虽小,已悉起之矣。愿大国遂肆志于秦,不谷将以楚殉韩。”韩王大说,乃止公仲。公仲曰:“不可。夫以实告我者秦也,以虚名救我者楚也。恃楚之虚名,轻绝强秦之敌,必为天下笑矣。且楚、韩非兄弟之国也,又非素约而谋伐秦矣。已有伐形,因发兵言救韩,此必陈轸之谋也。夫轻绝强秦而信楚之谋臣,恐必败矣。”韩王不听,遂绝和于秦。秦果大怒,兴师与韩战于岸门。楚救不至,韩氏大败。韩氏之兵非削弱也,民非蒙愚也,兵为秦禽,智为楚笑,过听于陈轸,失计于韩朋也。

📖 白话文翻译

秦韓、濁澤に戰い、韓の勢い危うし。公仲朋、韓王に謂いて曰く、「與國は恃むに足らず。今秦の心は、必ずや韓を攻めんと欲するなり。大王、張儀に因りて秦と講和し、名都を賂として、秦と與に楚を伐たば、此れ一城を以て秦に當たり、而して秦兵を以て楚を攻むるの計、一失二得の計なり。」韓王曰く、「善し。」乃ち公仲朋をして行かしめんとし、將に西のかた秦と講和せんとす。楚王之を聞きて恐れ、陳軫を召して告ぐ。陳軫曰く、「秦の楚を伐たんと欲すること久し。今又た韓の名城と其の兵を得たり。秦韓兵を合せて南のかた楚を攻むるは、此れ秦の廟に朝夕の所求なり。今已に之を得たり。楚必ず攻められん。大王其れ臣に聽き、國中を警しめ、選士をして救韓を言わしめ、車をして滿路せしめ、信臣を發し、多く其の車を載せ、其の幣を厚くして、韓をして大王の救わんことを信ぜしめよ。韓、縱え我に聽かずとも、必ず大王を德とせん。必ずしも秦の先鋒として來たらず。是れ秦韓和せずして、兵至ると雖も、楚を大害することあらじ。韓、果して我が言を聽き、秦と絕たば、秦必ず大怒し、韓を深く怨まん。韓、楚の救を得て、必ず秦を輕んぜん。秦を輕んぶれば、其れ秦に應ずること必ず敬ならじ。是れ秦韓の兵を困しめ、而して楚の患を免るるなり。」楚王大いに悅び、乃ち國中を警しめ、選士して救韓を言わしめ、信臣を發し、多く其の車を載せ、其の幣を厚くす。韓王に謂いて曰く、「寡人の國は小なりと雖も、已に悉く發す。願わくば大國その秦を難ずることを肆にせよ。寡人は楚を以て韓に殉ぜん。」韓王大いに悅び、乃ち公仲朋をして行かしむることを止む。公仲朋曰く、「不可なり。實を以て我を救う者は秦なり。名を以て我を救う者は楚なり。楚の虚名に倚りて、强秦と輕んずるに絶ゆるは、必ず天下の笑われん。且つ楚韓は兄弟の國に非ず、又た秦を伐つべきの約を預めせず。秦を伐つべきの形有りて、兵を發して救韓を言うは、是れ必ず陳軫の計なり。强秦を輕んじて信臣の謀を信ずるは、恐らくは必ず敗れん。」韓王聽かず。遂に秦と和を絕つ。秦果して大怒し、兵を發して韓と岸門に戰う。楚の救兵至らず。韓大いに敗る。韓の兵は弱きに非ず、民は愚かなるに非ず。然れども兵は秦に擒にせられ、謀は楚に笑わるるは、陳軫の聽を誤り、公仲朋の失を聽かざるなり。

💡 商战启示录

此策は、商戦における「情報と虚実」の駆け引きを明らかにするものである。韓王は楚国の「虚名」を誤信し、秦の「実利」を捨てたがゆえに、ついに惨敗を喫した。現代のビジネスにおいても、企業はしばしば類似の選択に直面する。すなわち、協力者が示す約束は「実」なるものか、それとも「虚」なるものか——表層を透かし見て、相手の真の意図を洞察せねばならない。 例えば、ある新興企業は投資を得んがために、同業他社の「戦略的提携」という虚辞を軽信し、大口顧客からの長期注文を断った。ところが相手は技術を引き出すだけに終始し、結局注文は流失し、企業は苦境に陥った。逆に、華為(ファーウェイ)は早年期、国際的大手からの「協力」のオリーブの枝に対し、その真の目的が自社の技術を扼殺することにあると冷静に分析し、自主研究開発を堅持した。ついに業界の巨人となったのである。 商戦の示唆するところは次の通りである。一、敵対者の甘言(いわゆる「虚名」)によって既存の戦略を揺るがすべからず。相手の資源と行動がその言辞に見合うものであるかを評価すべし。二、「借刀殺人」式の連合に警戒せよ。陳軫が「韓を救う」を名目としながら、実は秦と韓の離間を図ったが如く、企業も連合方案に別の企みが潜みはせぬかを識別すべし。三、「埋没費用」と「機会費用」を重んぜよ。韓王が公仲朋の良策を失ったように、企業もまた短期的誘惑によって長期的な最適経路を放棄することが往々にしてある。決断に際しては、公仲朋のごとく理性的に分析すべきである——誰が実質的資源を提供しているのか、誰が絵に描いた餅を示しているのか。ただ事実と論理に基づき、情緒や虚名に依拠することなくして、はじめて「天下の笑い者となる」敗局を免れ得るのである。