第352篇 秦将伐魏魏王闻之
出处:战国策·魏策三
📜 原文(文言文)
秦将伐魏,魏王闻之,夜见孟尝君,告曰:“秦且攻魏,子为寡人谋,奈何?”孟尝君曰:“有诸侯之救,则国可存也。”王曰:“寡人愿子之行也!”重为之约车百乘。孟尝君之赵,谓赵王曰:“文愿借兵以救魏。”赵王曰:“寡人不能。”孟尝君曰:“夫敢借兵者,以忠王也。”王曰:“可得闻乎?”孟尝君曰:“夫赵之兵非能强于魏,魏之兵非能弱于赵也。然而赵之地不岁危而民不岁死,而魏之地岁危而民岁死者,何也?以其西为赵蔽也。今赵不救魏,魏歃盟于秦,是赵与强秦为界也,地亦且岁危,民亦且岁死矣。此文之所以忠于大王也。”赵王许诺,为起兵十万,车三百乘。又北见燕王曰:“先日公子常约两主之交矣。今秦且攻魏,愿大王之救之。”燕王曰:“吾岁不熟二年矣,今又行数千里而以助魏,且奈何?”田文曰:“夫行数千里而救人者,此国之利也。今魏王出国门而望见军,虽欲行数千里而助人,可得乎?”燕王尚未许也。田文曰:“臣效便计于王,王不用臣之忠计,文请行矣,恐天下之将有大变也。”王曰:“大变可得闻乎?”曰:“燕不救魏,魏王折节割地,以国之半与秦,秦必去矣。秦已去魏,魏王悉韩、魏之兵,又西借秦兵,以因赵之众,以四国攻燕,王且何利?利行数千里而助人乎?利出燕南门而望见军乎?则道里近而输又易矣,王何利?”燕王曰:“子行矣,寡人听子。”乃为之起兵八万,车二百乘。魏王大喜,曰:“君得燕、赵之兵甚众且亟矣。”秦王大恐,割地请讲于魏。魏王因归燕、赵之兵,而封田文。
📖 白话文翻译
秦、魏を攻めんとす。魏王これを聞き、夜に孟嘗君を見て、告げて曰わく、「秦、魏を攻めんとす。子、我がために之を図れ。奈何せん。」孟嘗君曰わく、「諸侯の救い有らば、則ち国は免るる可し。」魏王曰わく、「寡人、願わくは子を行かさん。」と。鄭重に車百乗を之に具う。孟嘗君、趙に至り、趙王に謂いて曰わく、「願わくは兵を借りて以て魏を救わん。」趙王曰わく、「寡人、能わず。」孟嘗君曰わく、「敢えて兵を借る所以の者は、大王に忠なるを以てなり。」趙王曰わく、「願わくは聞かん、その説を。」孟嘗君曰わく、「趙の兵は魏の兵より強きに非ざるなり。魏の兵は趙の兵より弱きに非ざるなり。然るに趙の地は年々危難に遭わず、民は年々戦乱に死せず、魏の地は年々危難に遭い、民は年々戦乱に死す。是れ何ぞや。魏は西に在りて趙の蔽たる所以なり。今、趙、魏を救わざれば、魏は秦と盟い、是に由りて趙は強秦と地を接う。地は亦年々危難に遭い、民は亦年々死せん。是れ寡人の大王に忠なる所以なり。」趙王、許し、之がために兵十万、車三百乗を起こす。孟嘗君、又北して燕王に見え、曰わく、「先日、公子は両君の交わりを約せり。今、秦、将に魏を攻めんとす。願わくは大王、之を救わん。」燕王曰わく、「吾が国は連歳飢饉す。今、又数千里を行きて魏を助くとは、将に奈何せん。」田文曰わく、「数千里を行きて人を救うは、国の利なり。今、魏王、城を出でて敵を望む。数千里を行きて人を助けんと欲すとも、尚お得て為す可けんや。」燕王未だ許さず。田文曰わく、「臣、便利の計を大王に献ずるに、大王、臣の忠計を用いず。請う、辞して去らん。恐らくは天下、大変有らん。」燕王曰わく、「大変、聞く可きか。」田文曰わく、「燕、魏を救わざれば、魏王、膝行して地を割き、国の半ばを秦に以て与えん。秦兵必ず去らん。秦兵去らば、魏王、韓・魏の兵を悉く率い、又西のかた秦の兵を借り、趙の兵に因り、四国の力を以て燕を攻めん。大王、何の利か有らん。行きて数千里人を救うの利なるか、将に出でて燕の南門を望むの利なるか。道は近く、輸は易し。大王、何れの利かを安んずる。」燕王曰わく、「子、行け。寡人、子に聴かん。」と。乃ち之がために兵八万、車二百乗を起こす。魏王、大いに喜び、曰わく、「君、燕・趙の兵を得ること多くして且つ疾し。」秦王、大いに恐れ、地を割きて魏と講和を請う。魏王、乃ち燕・趙の兵を帰し、田文を封賞す。
💡 商战启示录
孟嘗君、趙・燕両国を遊説し、その要諦は魏の危機を以て相手方の利益関心へと転化せしめ、救わざる場合の連鎖的危険を暴き示すことにより、相手方をして自発的に出兵せしめたるにあり。これ現代企業に示すところあり:協力や資源を求むるに当たり、自らの需要のみを強調すべからず、相手方の痛点を深く掘り下げ、双贏あるいは多贏の構図を顕わすべきなり。例えば、サプライチェーン管理において、中核的供給者が危機に瀕する時、下流企業が短期的コストのみを顧みて支援を拒めば、供給断絶の危険を招き、自らの生産に影響を及ぼさん。逆に、進んで支援を提供すれば、サプライチェーンを安定せしむるのみならず、交渉に於いて発言権を強め得べし。孟嘗君が燕王に謂える「救わざれば魏は地を割きて秦に事えん、秦は必ず兵を引きて東に向かわん、燕国危うし」とは、正に「唇亡びて歯寒し」の論理を用い、相手方に無為の代価を悟らせたるなり。商業交渉に於いても、往々にして孟嘗君の如く、情景推演を通じ、相手方に協力こそ自らの危険を回避する最善の選択なることを意識せしむるを要す。また、孟嘗君が速やかに趙・燕の兵力を結集し、威嚇を形成して秦をして退かしめたるは、商業競争に於いて聯盟を以て優位を構築し、戦わずして人の兵を屈する戦略的智慧を体現す。現代企業は此の思路を借り、戦略的聯盟を構築し、互補的資源を整合することにより、規模或いは生態の優位を形成し、競争に於いて主導権を掌握し、遂には競争者の妥協を促すを得べし。