第193篇 楚王将出张子(二十二)
出处:战国策·楚策一
📜 原文(文言文)
楚王将出张子,恐其败己也,乃谓左右曰:“张子之来,欲以秦之强,而胁我以楚之弱也。吾欲勿听,恐失秦欢;欲听,恐为天下笑。吾计决矣,不如因张子而与之和,且以观其变。”左右曰:“大王之谋,过矣。张子之来,非为楚也,为秦也。秦欲以张子为饵,而钓楚之利。今王若与之和,是堕秦之计,而张子得志矣。不如绝之,以固楚之强。”楚王曰:“善。”乃不纳张子,而谢之曰:“寡人闻之,君子不乘人之危,不因人之弊。张子之来,非寡人之愿也。”张子去,楚王遂与齐合,而秦不敢加兵于楚。
📖 白话文翻译
楚懐王、張儀を楚より去らしめんと欲すれども、また張儀の己が計を壊さんことを恐る。ここにおいて左右の臣に謂いて曰く、「張儀の来たるや、秦の強きを恃みて、我が楚をして弱きを示さしめんと欲するなり。吾、其の言を聴かざらんと欲すれば、秦に得罪せんことを恐れ、其の言を聴かんと欲すれば、天下の笑ひを取らんことを恐る。吾すでに決せり。張儀を利用して秦と和を講じ、かつ時勢の変を観察せんとす。」臣等曰く、「大王の計、過てり。張儀の楚に来たるや、楚の為にせず、秦の為なり。秦は張儀を以て餌と為し、楚の利を釣らんと欲するなり。今、大王もし彼と和を講ぜば、即ち秦の罠に中り、張儀の志を得しむるなり。孰(いず)れよりも彼を拒絶して、以て楚の強きを固くせんには如かず。」楚懐王曰く、「善し。」ここにおいて張儀を納れず、婉曲に辞して曰く、「吾れ聞く、君子は人の危に乗ぜず、人の短を利せずと。張儀の来たるや、吾が本意に非ず。」張儀去りし後、楚懐王すなはち斉と盟を結び、秦もまた敢へて楚に兵を用ゐず。
💡 商战启示录
楚懐王は初め、張儀と講和することで危険を回避しようと考えた。一見穩当に思えるが、実は相手のペースに乗せられかねないものであった。臣下たちはその核心を喝破した。張儀は秦国の利益を代表する者であり、彼との交渉は本質的に敵対者との駆け引きである。軽々しく妥協すれば、自らの弱点を晒し、相手の掌中に踊らされることになると。これは現代の企業にも示唆を与える。商業交渉や提携においては、相手の真の意図を冷静に見極め、衝突を恐れたり短期的な利益に目がくらんだりして盲目的に譲歩してはならないのである。例えば、ある中国のハイテク企業は、海外の巨大企業から技術供与を名目としながら、実質的には市場データの取得を目的とした提携提案を受けたことがある。これを軽率に受け入れれば、短期的には技術を得られるものの、中核となるデータや顧客資源は相手の掌握下に置かれることになる。同社はこれを断固として拒否し、むしろ国内のパートナーと共同開発を進め、最終的に自主可控の基盤の上で市場を勝ち取った。これは楚王が張儀を退けて斉と連合し、秦国に軽挙妄動を許さなかった故事と軌を一にするものである。商業競争においては、時に一見魅力的な提携を断ることで、かえって戦略的な主導権を保ち、相手の駒にされることを免れるのである。肝要なのは、決断に先立って相手の動機を深く分析し、長期的な利益のために短期的な誘惑を断ち切る勇気を持ち、同時に自らの同盟と防壁を積極的に築くことにある。