定義
再订货点(Reorder Point / 再発注点) とは、在庫がこの水準まで減少した時点で、次の補充発注を実行すべきトリガーポイントのことです。DTC・EC事業においては、欠品(在庫切れ)を防ぎながら、過剰在庫によるキャッシュフローの圧迫や保管コストの増大を避けるために欠かせない在庫管理の基本指標です。
シンプルに言えば、「この数を切ったら、すぐに発注ボタンを押す」というラインのこと。これを下回ってから発注すると、リードタイム中の需要をカバーできず、販売機会の損失や顧客満足度の低下につながります。
类比:ガソリンランプと給油
クルマの燃料計を思い浮かべてください。警告ランプが点灯するのは、ガソリンが完全に空になった瞬間ではなく、「あと〇〇kmは走れる」という余裕を残したタイミングです。この警告ランプの位置が、まさに再発注点。
- ランプ点灯 = 再発注点到達
- ガソリンスタンドまで走れる距離 = リードタイム
- 渋滞や遠回り = 需要の変動(安全在庫でカバー)
ランプが点いてから給油すれば、途中でガス欠になるリスクを回避できます。在庫管理もまったく同じロジックです。
公式
再発注点は、次の計算式で算出します。
再発注点 = (平均日次需要量 × 調達リードタイム) + 安全在庫
具体例①:
- 平均日次需要量:50個
- 調達リードタイム:14日
- 安全在庫:200個
再発注点 = (50 × 14) + 200 = 900個
つまり、在庫が900個を下回った時点で発注をかければ、リードタイム中の需要700個をまかない、さらに200個のバッファを残せます。
具体例②(DTCアパレル):
- 平均日次需要量:30着
- 調達リードタイム:30日(海外工場)
- 安全在庫:450着
再発注点 = (30 × 30) + 450 = 1,350着
具体例③(コスメEC):
- 平均日次需要量:120個
- 調達リードタイム:7日
- 安全在庫:300個
再発注点 = (120 × 7) + 300 = 1,140個
安全在庫は、需要のばらつきとリードタイムの不確実性に応じて調整します。変動が大きいほど、安全在庫は厚く設定します。
比較表:再発注点 vs 関連指標
| 指標 | 目的 | 計算の考え方 | 向いているシーン |
|---|---|---|---|
| **再発注点(ROP)** | 発注タイミングの判断 | リードタイム需要+安全在庫 | 定番商品・継続販売SKU |
| **経済的発注量(EOQ)** | 1回あたりの発注量の最適化 | 発注コストと保管コストの均衡点 | 発注頻度を抑えたい大量SKU |
| **安全在庫** | 欠品リスクの吸収 | 需要・リードタイムの標準偏差 | 需要変動が激しい商材 |
| **発注点方式(連続レビュー)** | 在庫を常時監視 | 在庫がROPを下回ったら即発注 | 高回転・高単価SKU |
| **定期発注方式** | 発注間隔を固定 | 週次・月次でまとめて発注 | 発注業務を効率化したい場合 |
再発注点は「いつ発注するか」、EOQは「どれだけ発注するか」を担う、補完関係にある指標です。
応用シーン
1. DTCブランドの自社EC
ShopifyやBASEなどのECサイトでは、在庫管理アプリと連携して再発注点を自動アラート化できます。たとえば月商1,000万円のアパレルブランドが、売れ筋Tシャツの再発注点を1,350着に設定すれば、欠品による販売機会損失を最小化できます。
2. 越境EC・海外調達
中国やベトナムからの調達はリードタイムが30〜45日かかることも珍しくありません。リードタイムが長いほど再発注点は高くなり、資金を在庫に寝かせる期間も長くなります。為替や関税の変動リスクも考慮した安全在庫設計が鍵です。
3. マルチチャネル(EC+実店舗)
ECと実店舗で在庫を共有する場合、チャネルごとの需要特性が異なります。ECは変動が大きく、店舗は比較的安定。チャネル別に再発注点を設定するか、統合在庫で管理するかを戦略的に選びます。
4. サブスクリプションEC
定期購買モデルでは需要予測がしやすい一方、解約率の変動がリスク。解約率が5%から10%に跳ね上がると、再発注点の見直しが必要になります。
よくある誤解
❌ 誤解1:再発注点=ゼロ在庫になるポイント
再発注点は「発注をかける」タイミングであり、在庫がゼロになるポイントではありません。リードタイム中の需要をカバーする余裕を残します。
❌ 誤解2:一度決めたら固定でOK
需要は季節・トレンド・プロモーションで変動します。少なくとも四半期ごと、あるいはキャンペーン前に見直しましょう。
❌ 誤解3:安全在庫は多ければ安心
安全在庫を厚くすれば欠品リスクは下がりますが、保管コスト・廃棄ロス・キャッシュフロー圧迫という別のリスクが増大します。最適点を狙うのが原則です。
❌ 誤解4:リードタイムは常に一定
実際のリードタイムは、工場の繁忙期・船便の遅延・通関の混雑で変動します。標準偏差を考慮した安全在庫設計が不可欠です。
❌ 誤解5:すべてのSKUに同じ再発注点を適用
売れ筋と死に筋では回転率がまったく異なります。ABC分析でSKUを分類し、優先度に応じて再発注点を設定しましょう。
関連用語
- 安全在庫(Safety Stock):需要・リードタイムの変動に備えるバッファ在庫
- 経済的発注量(EOQ):発注コストと保管コストを最小化する最適発注量
- リードタイム(Lead Time):発注から入荷までの所要日数
- ABC分析:売上貢献度でSKUをランク分けする手法
- 欠品率(Stockout Rate):需要に対して在庫切れが発生した割合
- 在庫回転率(Inventory Turnover):一定期間に在庫が何回転したかを示す指標
- 発注点方式(Continuous Review):在庫を常時監視し、ROP到達で発注する方式
- 定期発注方式(Periodic Review):一定間隔で発注量を調整する方式
再発注点は、DTC・ECビジネスの「在庫の健康診断」とも言える指標です。需要予測・リードタイム管理・安全在庫設計を組み合わせて、欠品と過剰在庫のバランスを最適化しましょう。