定義
Business to Business(BtoB) とは、企業が企業に対して商品やサービスを販売する取引モデルのことです。日本語では「企業間取引」と呼ばれます。一般的な消費者向けEC(BtoC)とは異なり、購買の意思決定者が個人ではなく法人であり、取引単位が大きく、継続的な関係性が前提となります。
DTC/EC文脈では、工場・卸売業者・OEMメーカーが、ブランド企業や小売チェーンに対して商品を供給する構造を指します。たとえば、アパレルブランドが縫製工場からTシャツを仕入れる場合、1回の発注が1,000枚単位になることも珍しくありません。
类比:BtoBは「業務用スーパー」のようなもの
BtoCが「コンビニで1本ずつ飲み物を買う」体験だとすれば、BtoBは「業務用スーパーで段ボール単位で仕入れる」体験に近いです。
- 価格は卸価格(wholesale price) で、小売価格より低い
- 最小発注数量(MOQ)が設定されている
- 支払いは「掛け払い(後払い)」や「銀行振込」が主流
- 担当者同士の信頼関係がリピート発注を左右する
つまり、1件あたりの利益率は薄いが、1件あたりの売上金額と継続性が大きいのがBtoBの本質です。
公式:BtoBの収益構造
BtoBの基本的な損益計算は次の通りです。
粗利 = 売上高 − 売上原価 売上高 = 卸単価 × 発注数量 粗利率 = 粗利 ÷ 売上高 × 100
具体例1:アパレルOEM
- 卸単価:1,200円
- 発注数量:3,000枚
- 売上高:1,200 × 3,000 = 3,600,000円
- 原価:900円 × 3,000 = 2,700,000円
- 粗利:900,000円
- 粗利率:25%
具体例2:化粧品の卸売
- 卸単価:800円
- 発注数量:10,000個
- 売上高:8,000,000円
- 粗利率:18%
具体例3:食品卸
- 卸単価:300円
- 発注数量:50,000個
- 売上高:15,000,000円
- 粗利率:12%
BtoCの粗利率が60〜80%になることを考えると、BtoBは「薄利多売」であることが数字で確認できます。
比較表:BtoB vs BtoC
| 項目 | BtoB(企業間) | BtoC(消費者向け) |
|---|---|---|
| 顧客 | 法人・小売店・ブランド | 個人消費者 |
| 単価 | 卸価格(低め) | 小売価格(高め) |
| 発注単位 | ケース・パレット単位 | 1点から |
| 粗利率 | 10〜30% | 50〜80% |
| 意思決定 | 複数部署・稟議 | 個人の即決 |
| 支払条件 | 掛け払い・請求書 | クレカ・即時決済 |
| リピート | 契約・継続取引 | 都度購買 |
| マーケ手法 | 営業・展示会・商談 | SNS・広告・SEO |
応用场景(ユースケース)
1. DTCブランドの生産背景
多くのDTCブランドは、自社工場を持たずBtoBでOEM工場に生産を委託しています。MOQ 500枚から対応する工場もあれば、3,000枚以上の縛りがある工場もあります。
2. 越境ECの仕入れ
中国やベトナムの工場からBtoBで仕入れ、日本のECモールでBtoC販売する「BtoBtoC」モデルは越境ECの定番です。
3. 卸売プラットフォーム
「NETSEA」「SUPER DELIVERY」など、BtoB専用の卸ECモールを活用すれば、実店舗を持たなくても法人向け販売が可能です。
4. サブスク型BtoB
オフィス向けコーヒー定期配送など、BtoBでもサブスクリプション化が進んでいます。
よくある誤解
- 「BtoBは儲からない」
→ 粗利率は低いですが、LTV(顧客生涯価値)は高く、安定収益になります。1社の継続取引が数百件のBtoC顧客に匹敵することも。
- 「BtoBはECと無関係」
→ 近年はBtoB EC(企業間EC) が急成長。経済産業省の調査では、日本のBtoB EC市場規模は約420兆円(2022年)と、BtoC EC(約22兆円)の約19倍です。
- 「価格だけで選ばれる」
→ 実際は納期・品質・サポート・信頼関係が重視されます。価格は必要条件であって十分条件ではありません。
- 「MOQは絶対」
→ 交渉次第で下がるケースも。初回は少ロット、リピートで増やす「スモールスタート」が有効です。
関連用語
- BtoC(Business to Consumer):企業から消費者への取引
- D2C / DTC(Direct to Consumer):自社ECで消費者に直接販売
- OEM(Original Equipment Manufacturer):相手先ブランドで製造
- ODM(Original Design Manufacturer):企画・設計込みで製造
- MOQ(Minimum Order Quantity):最小発注数量
- 卸価格(wholesale price):法人向けの提供価格
- 掛け払い:後払い方式の決済
- BtoB EC:企業間のオンライン取引
BtoBは「地味だが安定した収益の柱」です。DTCブランドを運営するなら、BtoCだけでなく、法人向け卸やOEM供給を組み合わせることで、収益のポートフォリオを強固にできます。まずは自社の強みを活かせるBtoBチャネルを1つ選び、MOQや卸価格のシミュレーションから始めてみましょう。