定義
RFM分析とは、顧客を3つの軸でスコアリングし、優良顧客から離脱寸前の顧客までを定量的に分類するマーケティング分析手法です。3つの軸は以下の通りです。
- R(Recency / 最終購買日):直近いつ買ったか
- F(Frequency / 購買頻度):一定期間に何回買ったか
- M(Monetary / 購買金額):累計または一定期間でいくら使ったか
DTC・EC業界では、単なる売上ランキングではなく「LTV(顧客生涯価値)の最大化」を目的に、CRM・LINE配信・メールマーケティングのターゲティング基盤として使われます。日本のEC現場では「Rファースト」で見ることが多く、直近購買の鮮度を最優先に設計するのが定石です。
类比:RFMは「友達との関係性」に似ている
RFMを直感的に理解するなら、友達付き合いに置き換えると分かりやすいです。
- R:最近連絡を取ったか(久しぶりだと関係が薄れている)
- F:どのくらい頻繁に会っているか(毎週会う友達 vs 年1回の友達)
- M:一緒にどれだけ濃い時間・お金を使っているか(旅行に行く友達 vs カフェだけの友達)
「先週会って、毎月会っていて、一緒に旅行も行く友達」が最優良顧客です。逆に「1年以上会っておらず、1回しか会ったことがなく、安いカフェしか行っていない友達」は、関係を再構築するか見切るかの判断が必要になります。RFMはこの「関係性の温度感」を数字で可視化するツールです。
公式
RFMスコアの基本的な算出方法は以下の通りです。
Rスコア = 最終購買日からの経過日数をもとに5段階評価
(例:30日以内=5、31〜60日=4、61〜90日=3、91〜180日=2、181日以上=1)
Fスコア = 期間内購買回数をもとに5段階評価
(例:10回以上=5、6〜9回=4、3〜5回=3、2回=2、1回=1)
Mスコア = 期間内累計購買金額をもとに5段階評価
(例:10万円以上=5、5〜10万円=4、3〜5万円=3、1〜3万円=2、1万円未満=1)
RFMスコア = Rスコア + Fスコア + Mスコア(最大15点)
実務では、各軸を5分位(クインティル)で分割し、合計点や組み合わせパターンでセグメントを定義します。例えば「R5・F5・M5」は最優良顧客、「R1・F1・M1」は休眠顧客として扱います。
セグメント比較表
| セグメント | R | F | M | 典型顧客像 | 推奨アクション |
|---|---|---|---|---|---|
| 優良顧客(Champions) | 5 | 5 | 5 | 毎月購入・高単価・直近も購入 | 限定商品の先行案内、VIPプログラム |
| ロイヤル顧客(Loyal) | 4 | 4 | 4 | 定期購入・リピート安定 | アップセル、クロスセル提案 |
| 離反予備軍(At Risk) | 2 | 4 | 4 | 以前は優良だが最近買わない | 休眠前リマインド、クーポン |
| 新規顧客(New) | 5 | 1 | 1 | 初回購入直後 | オンボーディング、2回目購入導線 |
| 休眠顧客(Hibernating) | 1 | 1 | 1 | 長期間購入なし・低単価 | 掘り起こし or 配信停止判断 |
応用シーン
1. LINE・メール配信のセグメント配信
日本のDTCでは、RFMスコアごとに配信内容を変えるのが効果的です。例えば優良顧客には「新作先行案内」、離反予備軍には「〇〇日以内限定クーポン」、新規顧客には「2回目購入で送料無料」などです。
2. 広告の類似オーディエンス作成
RFMで「R5・F5・M5」に該当する顧客リストをMeta広告やGoogle広告の類似オーディエンスとして投入すると、CPA(顧客獲得単価)が改善しやすくなります。
3. 休眠顧客の掘り起こし
例えば、最終購買から180日以上経過したR1層に対して、段階的にクーポン率を上げる施策を実施します。1通目はノークーポン、2通目は10%OFF、3通目は20%OFFといった具合です。
4. 在庫・商品開発へのフィードバック
Mスコアの高い顧客がよく買う商品カテゴリを分析することで、次回の仕入れやPB商品開発の判断材料になります。
よくある誤解
誤解1:RFMスコアが高い顧客だけを優遇すればいい
実際には、Rスコアが高くF・Mが低い「新規顧客」の2回目購入率を上げる方が、LTV貢献度が大きいケースが多いです。優良顧客はすでに購買習慣があるため、伸びしろは新規・離反予備軍にあります。
誤解2:R・F・Mを均等に重み付けすればいい
業種によって重要度は異なります。消耗品ECならF、高級ブランドならM、サブスクならRの重みを大きくするのが一般的です。
誤解3:一度作れば終わり
RFMは定期的に再計算が必要です。購買データは日々更新されるため、週次または月次での再スコアリングを推奨します。
誤解4:RFMだけで顧客像が分かる
RFMは「行動量」の分析であり、「なぜ買ったか」「何に興味があるか」は分かりません。アンケートや閲覧履歴と組み合わせることで精度が上がります。
関連用語
- LTV(Life Time Value / 顧客生涯価値):RFM分析の最終目的はLTV最大化
- CRM(Customer Relationship Management):RFMを活用する顧客管理の枠組み
- コホート分析:購買時期ごとのグループ分析。RFMと併用される
- チャーン(Churn / 離反):Rスコア低下で予測される離反
- NPS(Net Promoter Score):顧客ロイヤルティ指標。RFMと相関分析される
- セグメントマーケティング:RFMで分けた顧客群ごとの施策設計
RFM分析は、DTC・ECにおいて「誰に・いつ・何を届けるか」を決めるための最も実践的なフレームワークです。まずは直近90日間の購買データでR・F・Mを5段階スコアリングし、セグメントごとの売上構成比を可視化することから始めましょう。