定義
Above the Fold(アバブ・ザ・フォールド) とは、ユーザーがページを開いた瞬間にスクロールせずに目に入る領域のことです。日本語のEC/DTC文脈では「ファーストビュー(FV)」と呼ばれることが圧倒的に多く、たまに「首屏」と訳されることもありますが、現場ではほぼFVで通ります。
語源は新聞紙。折り畳まれた新聞の「折り目(fold)より上」=駅売店で見える部分、という意味から来ています。Webではこれが「スクロール前の表示領域」に置き換わりました。
スマホ時代の現在、日本のDTC・ECサイトにおいてFVは離脱率とCVRを最も強く左右する1画面です。ユーザーはFVを見て「読む価値があるか」「買う気になれるか」を0.05秒〜3秒で判断すると言われています。
たとえ話
FVはお店のショーウィンドウです。
- 通りがかった人が足を止めるかどうかは、ウィンドウの中身で決まる
- 中に入ってもらう前に「何を売っている店か」「入る価値があるか」を伝えないといけない
- 逆に、ウィンドウに商品を詰め込みすぎると「安っぽい」「何の店か分からない」となる
日本の実店舗で言えば、路面店のガラス越しに見える陳列がFVです。奥の棚(=スクロール下)がどれだけ良くても、ガラス越しに見えなければ存在しないのと同じです。
公式(指標)
FVの品質は、以下のような指標で測定されます。
FV離脱率 = FVで離脱したセッション数 ÷ 全セッション数 × 100 FV到達CVR = FV経由のCV数 ÷ FV表示数 × 100 スクロール到達率 = FV下まで到達したユーザー数 ÷ FV表示数 × 100
ベンチマーク(日本のEC/DTC平均値):
- FV離脱率:40〜60%(業種により変動)
- FV→スクロール到達率:55〜70%
- FV内CTAクリック率:3〜8%(LPの場合)
つまり、FVで約半分のユーザーが離脱するというのが日本のEC現場のリアルです。ここを1%改善するだけで、サイト全体のCVRが大きく動きます。
比較表:FV vs スクロール下領域
| 項目 | Above the Fold(FV) | Below the Fold(スクロール下) |
|---|---|---|
| 閲覧率 | ほぼ100% | 50〜70%(位置による) |
| 主な役割 | 興味喚起・離脱防止 | 情報提供・説得・比較 |
| 最適なコンテンツ | キャッチコピー、メインビジュアル、CTA、価格 | 詳細スペック、レビュー、FAQ |
| デザイン優先度 | 最優先 | 次点 |
| スマホ表示 | 1画面に収める | 縦に長くてOK |
| KPI | 直帰率、スクロール率 | 回遊率、CVR |
応用シーン(日本のDTC/ECでの具体例)
1. DTCの商品LP
FVに置くべきは「誰の・どんな悩みを・どう解決するか」+「今買う理由」+「CTA」。日本のDTCでは、FVに定期購入の初回価格や送料無料バッジを出すとCVRが伸びやすいです。
例:化粧品DTCならFVに
- キャッチ:「毛穴、もう隠さない。」
- サブ:「初回1,980円(通常4,980円)」
- CTA:「今すぐ試す」
- 信頼バッジ:「30日間返金保証」
2. 楽天・Amazon店舗
FVに商品タイトル・メイン画像・価格・レビュー星が揃うかが勝負。楽天ではレビュー件数がFV内に見えるとCVRが約1.2〜1.5倍になるというデータもあります。
3. Shopifyストア
FVにヒーロー画像+1行コピー+CTAボタンの3点セット。日本のShopifyストアでは、FVのCTAボタン色をオレンジ/赤系にするとクリック率が上がりやすい(+15〜25%)というA/Bテスト結果が多く報告されています。
4. 広告LP(Meta/Google)
FVと広告クリエイティブのメッセージ一致(メッセージマッチ)が重要。FVで広告と違うことを言うと、直帰率が70%超になるケースも。
よくある誤解・落とし穴
❌ 誤解1:「FVは情報を詰め込むほど良い」
→ 逆効果。FVは1メッセージ・1CTAが原則。要素が多すぎると視線が分散し、離脱率が上がります。
❌ 誤解2:「PCで確認すればOK」
→ 日本はスマホ経由が約70〜80%。PCのFVとスマホのFVは別物として設計すべき。PCで3行のコピーがスマホでは5行になり、CTAが画面外に押し出される事故が多発します。
❌ 誤解3:「FVはデザインの問題」
→ FVはコピーライティングの問題でもあります。「何を言うか」が9割。デザインはその次。
❌ 誤解4:「FVを変えればCVRが上がる」
→ FV改善は入口の改善。商品力・価格・レビューが弱いと、FVを磨いてもCVRは頭打ちになります。
❌ 誤解5:「Foldの位置は固定」
→ デバイス・ブラウザ・解像度でFold位置は変わります。iPhone 15で約750〜850px、PCで約700〜900pxが目安。固定pxではなく比率で設計しましょう。
関連用語
- Below the Fold(ビロウ・ザ・フォールド):スクロールしないと見えない領域
- ファーストビュー(FV):日本語での実質的な同義語
- ヒーローセクション:FVのメインビジュアル部分
- CTA(Call to Action):FV内の行動喚起ボタン
- スクロール深度:どこまで読まれたかの指標
- メッセージマッチ:広告とLPのFVの一貫性
- LCP(Largest Contentful Paint):FVの表示速度指標。2.5秒以内が推奨
- 直帰率:FVで離脱した割合を示す指標
まとめ
FVは「0.05秒で勝負が決まる1画面」。日本のDTC/ECでは、スマホ前提・1メッセージ・1CTA・価格と信頼バッジの明示が鉄則です。FV離脱率40〜60%という現実を直視し、コピーとレイアウトを継続的にA/Bテストすることが、CVR改善の最短ルートになります。